新シリーズの開始

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 十年前、熟年という言葉が気に入って使いだした。
定年退職をまえにして、これからは"年を熟していこう"と思った。

そのころ書き始めたメルマガも"熟年からのインターネット"にした。
その後"熟年からのネット交流"を試し、いろいろな人々と出会った。
一昨年は"熟年からの風景"を書き、昨年は"熟年挽歌"とした。
母の死もあり、文字どおり挽歌になってしまった。
 ここ数年は親の事が頭から離れなかった。
年々老いていき、気力も衰えていった。
いっしょにいる時間を少しでも多くしようと思った。
いつお迎えがきてもおかしくないと覚悟していた。

好きだった海外旅行も止め、国内旅行も抑えた。
逆さは絶対に見せてはいけないと身体には気を使った。
事故にあわぬよう、意識して注意した。

夜学に通っていた青年期も充実したものではあったが、
この十年はそれ以上に充足した歳月であった。
「おまえ、いつの時代に戻りたい」と、もし問われたら、
この時期になろう。

だが、ほんとうのことを言えば「戻らず、このまま行かせて」と答えたい。

 これからの道、熟年期とは違った展開が待っていよう。
これまでとは違った交流も起きるかもしれない。
新しい視点からの風景も見られよう。
そして、いつの日かその挽歌を高らかに詠うであろう。

  願わくば
  老いて熟して朽ちはてむ
  春や近づく日ざしのなかに

2010/2/9
Flash:新シリーズ−老熟準備体操の開始
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