第6章 心にうつりゆくよしなしごとを

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古文読解の素養を積んでおけばと悔いている。

 ひとり灯のもとにて文をひろげて、
 見ぬ世の人を友とする、
 こよなうなぐさむわざなり

この夏、徒然草を読んでいる。
その第十三段、冒頭部分だ。

徒然草といえば、古文の授業で習った。
いま読めば合点がゆくところも多々あるが、
あのころは退屈であったろう。

 古典作品は大人になってはじめて興味をもった。
 それもかなりの年を重ねたのちにだ。
 "大人になったら読みたくなるよ"なんて
 先生も言ってくれればいいものの。
 内容はわからないにしても、
 文法とか古語とか基本的なところは
 まじめに勉強しただろうに。

今年は法華経も読んでいる。こちらは漢文の素養が必要だ。
また、近代短歌の講座を聴いているが、
たった百年まえの歌の言いまわしが聞き取れない。

 若いとき国語の素養を養っておけば、
 いまがどんなに楽しいだろう。

"見ぬ世の人を友とする、こよなうなぐさむわざなり"と
兼好は書いているが、なかなか友に近づけないはがゆさを感じている。

   いにしへの文への素養ありにせば
   いかにかあらむなぐさむこころ

        今年の夏は東京を離れて
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