古文読解の素養を積んでおけばと悔いている。
ひとり灯のもとにて文をひろげて、
見ぬ世の人を友とする、
こよなうなぐさむわざなり
この夏、徒然草を読んでいる。
その第十三段、冒頭部分だ。
徒然草といえば、古文の授業で習った。
いま読めば合点がゆくところも多々あるが、
あのころは退屈であったろう。
古典作品は大人になってはじめて興味をもった。
それもかなりの年を重ねたのちにだ。
"大人になったら読みたくなるよ"なんて
先生も言ってくれればいいものの。
内容はわからないにしても、
文法とか古語とか基本的なところは
まじめに勉強しただろうに。
今年は法華経も読んでいる。こちらは漢文の素養が必要だ。
また、近代短歌の講座を聴いているが、
たった百年まえの歌の言いまわしが聞き取れない。
若いとき国語の素養を養っておけば、
いまがどんなに楽しいだろう。
"見ぬ世の人を友とする、こよなうなぐさむわざなり"と
兼好は書いているが、なかなか友に近づけないはがゆさを感じている。
いにしへの文への素養ありにせば
いかにかあらむなぐさむこころ
今年の夏は東京を離れて