第7章 四国遍路 その1 結願の旅に

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四国遍路を結願する旅にでた。

 今回は打ち残していた数箇寺をまわる。
 これで八十八ヶ所すべてを巡礼したことになる。

 以前にも書いたが、初めて四国にわたったのは三十余年前だ。
 発心の動機はいくつかの要素が入り乱れたものであった。
 若くもあり、いろいろとあったのだ。

最初のときは徳島から高知までの一週間ほどの行程であった。

 その後は、休みがとれれば、行けるところまで進むと
 いう打ち方に変えた。しかしそれも、
 家のこととか仕事を理由にして長く中断していた。

死んだおふくろはそのことをたいそう気にしていた。

 体力があれば、一度は廻ってみたいものだともいっていた。
 一周忌が近づき、それまでには結願しておこうと思い立ったのだ。

三十年前に比べ、巡礼の環境も形態にも変化があった。

 私自身もいまの自分に変わってきた。
 一方、遍路の底に流れる精神文化は薄くはなったが残っている。

これから何回かにわけて、綴ってみる。


   いま思ふ
   秋のただよふ遍路道
   いかにありしか過っての思ひ

 ところで、昔まわった寺々や歩いた遍路道、利用した交通機関、
 その行程、時期に関してもまったく記憶から失せている。
 記録しておこうとの気くばりもなかった。
 思い返すことがあるなど思いもしなかったのであろう。

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