第3章 噴き出る情熱もなく、野性もなく

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Flash:第3章 噴き出る情熱もなく、野性もなく

 緊張感に欠ける日を送っている。

ストレスがなくなったせいだろう。
バイトとはいえ、相当なストレスになっていたようだ。
気楽といえば気楽なのだが、緊迫感がない。

日本の現状を多くの者がなげくが、

批判一辺倒、具現的提案がない。
マスメディアもネタ追いに終始している。
根幹のところを脇に置き、枝葉のところで騒ぎ立てる。

 という自分も、危惧するだけだ。

これもなさけない。
なだらかな下降線を描きながら、
それはそれなりに日々が過ぎていく。

人と会うのが億劫になった。

話すこともない。聞きたいこともない。
好奇心がわかない。会うことへの気づかいにも疲れた。

寒いこともあってか、出歩くこともなくなった。

家にいるのが一番と思うようになった。
そういえば、これがおふくろの口癖だった。
デイケアーにも一度も行ったことがない。
集まりも嫌いだった。
年をとると似てくるのだろうか。

家にいるのが一番と思う或る日、

ポットキャストを聴いていた。最近、これが愉しみなのだ。
ぼんやりと庭をながめる。

冬の庭
それはそれなりに悠然と
生きるをしめし
野良が横ぎる

雪も溶けない庭の軒下を猫がゆく。
エサさがしか、あるいは、雌を求めてだろう。
そのこちら側では、ガラス越しに光りをうけながら、
怠惰な自分がそれをながめる。

2011/2/14

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