第5章 それはそれなりにとはありがたいことだと

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Flash:第5章 それはそれなりにとはありがたいことだと

それはそれなりにとはありがたいことだと、つくづく思う。

悲しみ、怒り、むなしさ、諸々の感情が支離滅裂だった。

3・11当初、横並びのテレビ報道をまえにして

 深刻と悲痛の面を並ばせて
 言ふことだけで事は足りたか

先が見えない原発事故。
気づかぬうち、怒りをテレビにぶつけている。
イライラしながら風呂に入る。そこで気づく。
リスクを知ろうともせずに、
目の前に供給される便利さを享受してきた自分を。

 行き場なく放つ不満のむなしさが
 ぬくぬく湯舟の我れを沈ます

ボディーブローのようにたまっていくストレス。
そのあとを襲う無力感。

 さりとても役目もあらず用もなし
 この歳なりて さらに知るとは

思いなおす。
なさけないに留まっていてはいけない。
せめてそれはそれなりの営みに戻さねばと。
しかし、・・・

 春来ぬと
 淡き色にておおわれし
 大地をみるに
 その得体なさ

それなりの生活を持続できたとしても、
心底、そう思えるときは来るのだろうか。

2011/4/22

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