それはそれなりにとはありがたいことだと、つくづく思う。
悲しみ、怒り、むなしさ、諸々の感情が支離滅裂だった。
3・11当初、横並びのテレビ報道をまえにして
深刻と悲痛の面を並ばせて
言ふことだけで事は足りたか
先が見えない原発事故。
気づかぬうち、怒りをテレビにぶつけている。
イライラしながら風呂に入る。そこで気づく。
リスクを知ろうともせずに、
目の前に供給される便利さを享受してきた自分を。
行き場なく放つ不満のむなしさが
ぬくぬく湯舟の我れを沈ます
ボディーブローのようにたまっていくストレス。
そのあとを襲う無力感。
さりとても役目もあらず用もなし
この歳なりて さらに知るとは
思いなおす。
なさけないに留まっていてはいけない。
せめてそれはそれなりの営みに戻さねばと。
しかし、・・・
春来ぬと
淡き色にておおわれし
大地をみるに
その得体なさ
それなりの生活を持続できたとしても、
心底、そう思えるときは来るのだろうか。
2011/4/22