第8章 まだ早い気もするが

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それはそれなりとまでは言えないが、多少の預貯金はある。

残された者の身になって準備を始めることにした。
まだ早いような気もするが。

母のときに、相続手続きの面倒くささは十分に経験した。

公正遺言書があったので、それでも楽だったが、
或る金融機関では、遺言書があるにもかかわらず、
法定相続人すべての承認印を要求してきた。

そんなこともあって、まずは遺言書をつくることにした。

公正証書にしておけばベターだが、
意外に費用がかかり、また、書き換えがあることを考えて、
キットを買い、ガイドに沿って自分で遺言書を書いた。
調べたら、口座番号まで記載が必要だという金融機関もあった。

書き終えて、ある疑問が沸いた。

ネット銀行、ネット証券の場合はどうなるのだろう。
店舗がない。相談窓口がない。
残された者はどこに行けばいいのだろう。

インターネットで資金管理をした経験のない者は困惑するだろう。

もしアクセスできたとしても、ID番号やパスワードが質問されてくる。
操作方法や必要な最新の情報を死ぬ直前に伝えておかねばならぬ。

死ぬまで頭はしっかりしておかねばならないということか。

早いとの思いはすれど老い仕度
時もいずれは錆びゆくものと

2011/7/29

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