道路をうめつくしていた自転車軍団は姿を消した。
大幅に拡張された道路には車の列が延々とつづく。
車は止めずに走らすことを第一として設計したようだ。
片側だけでも車道4車線、それに自転車用に1車線、
さらに十分な幅の歩道が沿う。
横断歩道はめったにない。
右折は信号なしで、曲がれる。
車道は随所で信号なしで合流する。
環状自動車道路が中心部を幾重にも巻く。
それらが東西、南北の幹線道路と立体で交差する。
街を見てみると、低い家屋は消え、
高層マンションが群れをなして建ち並ぶ。
高い塀が外界を遮断するようにマンション群を囲む。
警備の男数人が車や人の出入りをチェックする。
許可されぬ者は団地内に入れない。
道路づくりにせよ、マンション建設にせよ、
大規模な取り壊し、立ち退きがともなっただろう。
家や農地を追われた者も多くいただろう。
それを命令一下、成すことができたと想像する。
そんな桁外れの都市改造を行っても、
発展のエネルギーはそれをはるかに上回って拡大する。
もう限界は目の前だ。
地方から旅行者が中心部や観光地に押し寄せる。
そして今後も、ますます増えていくだろう。
南部地区はまだ開発が進んでいる。
出稼ぎ労働者も多い。
北京の街は人と車であふれかえる。
道路状況からして、車のいま以上の保有は無理だろう。
動かそうにも動かせない。
車に代わる公共交通機関はあることはある。
縦横に何本もの地下鉄網が張りめぐらされた。
いまでも一部工事が行なわれている。
だが、その地下鉄も大混雑だ。
昼は旅行者や日雇い風労働者で、夜は通勤客で満員状態だ。
地下通路は乗り換え客の列であふれる。
車を持った者はなかなか手放せない。
公共交通機関に乗り換えようとする者もいないだろう。
車は増えることがあっても、減ることはない。
小型車はいたって少ない。
日本でいう3ナンバーの車が多い。
道路占有面積が広いわけだ。
物流関連の車、日本でいうコンビニ配送車、宅配便の車などの
箱型トラックを見かけない。
これらが加われば、車は身動きがとれなくなる。
北京市は今後、どんな手を打つのだろう。
現在、車番によって都心乗り入れ禁止の曜日を定めているが、
そんな策では解決できない事態に入るだろう。
近い将来、北京は車で爆発してしまう。
これが今回の旅行で受けた最も強かった印象だ。
2011/11/3