第1章 おぼつかない年の初め

              Next      トップに戻る
Flash:第1章 おぼつかない年の初め

昔なら、もう買っていただろう。

スマートフォン、タブレットPCと、
流行りものに興味がいったであろう。
当面のメリットやなにに使うかは脇に置き、
持つことで得られる幻想に魅せられて、手を出していただろう。

なにごとにも興味が薄れ、購買意欲も衰えた。

衝動にかられることもない。
眼鏡を額にずりあげ、画面に眼を近づける姿はさまにならない。
思い立ったら行動にという、あの積極性も影をひそめた。
そもそも、思い立つこと自体が生まれない。

そんなこんなで、今年はなんともたよりない幕開けとなった。

例年であれば、こんな姿勢で臨もうと、一応は思い描いてみる。
目標といった大それたものでなくとも、
今年はこうであろうというイメージさえも出てこない。

おぼつかな
いづれの山の峯からも
常なる花は咲きはじむまじと

外的要因もあろう。

本質的に収束できない原発の問題、
近年起きるであろうといわれる東海・南海連動地震、
いつ起きてもおかしくない東京直下型しかり。
世界いたるところで噴出、くすぶる対立・紛争、
その解消の糸口さえ想像できない絶望感。

そんな時代に身を置くとは想像もしなかった。

しかも、この歳でだ。 おおげさにいえば、
人生ドラマにおいて"起承"と順調に進んできたのに、
ここにきて、先がみえない"転"のステージに突入したようだ。
おだやかに、ゆるやかに下っていきたいとの願望を
打ち砕くがごとくに。

うろたえ、おののく事態もきっと起ころう。

つぶされてしまうかもしれない。
そんななかでも、あがく自分を面白いと思える自分でありたい。
好奇心は大いに沸かせねばと奮い立つ。

いまはどこ?  2012/1/22

inserted by FC2 system