パックツアーでスペインへ
Flash:第4章 想像以上のプラド美術館
第5章 あまりにシステム化されたツアー

行くところは決まっている。

マドリード、コルドバ、グラナダ、セビリア、バルセロナが定番だ。
ポルトガルが入ると、これにリスボンが加わる。
パック旅行はこれら訪問地の組み合わせだ。
日数に応じて、訪問地が取捨選択される。
長いからといって、一箇所に長く留まるわけではない。
移動距離が長くなるだけだ。



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関連業者が連携し、ツアーは組み立てられる。

企画や販売を担当する会社、ツアーを遂行する会社や添乗員、
現地の旅行会社、バス会社、ホテル、レストラン、免税店らで
持ちつ持たれつの絶妙な関係を構築する。

ツアー進行も体系化されている。

訪問地に着くとバスを降りる。
現地ガイドの案内で世界遺産を観光する。
トイレ休憩と称して免税店に連れて行かれる。
食事も事前に決まっていて、出されたものを食べる。

半日の観光に半日のバス移動、これが基本パターンだ。

コースは効率を第一に組まれている。
1時間ほどの観光で、再びバスに乗せられる。
そして、次の訪問地に向かう。
旅行業者はできるだけ多くの観光地をみせたことにしたい。
それで客に満足感を与えたいようだ。

時間表どおりに進行する。

6時半にモーニングコールがあって、7時から朝食。
歯を磨き、トイレに行って、スーツケースを下まで運ぶ。
他の団体客より少しでも先にと、7時50分にはホテルを出発。
こうすれば、観光スポットも待たずに入れる。
遅れは全体のスケジュールを狂わす。

まとまって行動するように仕向けられる。

「時間どおり遅れないように」と常にいわれる。
日本人観光客を狙った物取りが横行していると注意される。
「貴重品は肌身離さずに」と何度も聞かされる。
「ここから先はしばらくトイレがない」といわれれば、
とりあえずトイレに立ち寄る。

まさにベルトコンベアに乗せられたような気分だ。

すべてが段取りどおりに運ばれる。
決められた時間に始まり、計画どおりに終え、次に移動する。
この繰り返しだ。

何も考える必要がない。

すべてが事前に組まれたスケジュールに従って運ばれていく。
個人旅行のように泊まりや移動の手配にあくせくする必要はない。
わずらわしい交渉事もない。
おいしいかおいしくないかは別にして、出されたもので満足する。
ここが撮影ポイントといわれればシャッターを押す。
用意されたものをただただ受け入れていく。
これがパック旅行というものだろう。

ところで、バスの運転手さんもたいへんだ。

ツアーの途中で代わることはなく、一人が通しで担当する。
泊まるホテルも客と同じで、朝から夜までツアーに同行する。
今回のツアーはマドリードを出発して、アンダルシアをまわり、
バルセロナまでだったが、そのツアーを終えた運転手は、
休む余裕もなく、翌日は次のツアー客を乗せる。
今度は逆まわりで、バルセロナからマドリードに向う。

パックツアーでスペインへ  2012/4/17

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