パックツアーでスペインへ
第10章 パックツアー最大の欠点

バルセロナでもそうであった。

スポット、スポットをバスで廻るだけだ。
それも多くは車窓から眺めるだけだ。
これではバルセロナ近代芸術の息吹をかぐこともできない。
バルセロナに対しても、建築家たちにも申し訳ない。

自分のペースで散策できたら、どんなによかったか。

徒歩で登れたら、アルハンブラ宮殿の印象も違っていただろう。
丘の下のヌエバ広場から坂を登り、裁きの門をくぐり、城内に入る。
こんな過程を踏んだら、感激も湧き上がったであろう。



        Back      Next      トップに戻る
       

バスだとそうはいかぬ。

味気ない自動車道路を登り、観光バス用につくられた駐車場に入る。
バスを降りれば、目の前に団体客用に設置された出入り口。
なんの苦労もなく、そこからぞろぞろと入る。

ツアーはできるだけバスで運ぼうとする。

限られた日数のなかで数多くの観光地に連れていく。
それがパック旅行商品の売りだ。
効率優先は仕方ないことだとは思うが、
しかし、それが欠点のようにも感じる。

もうひとつの欠点はショッピングだ。

土産物屋に頻繁に連れて行かれる。
そして、1時間ほどの買い物時間が設けられる。
この時間があれば、もっと自由に散策できるのにと思う。

しかし、連れて行かれた店で使うお金も旅行料金のうちだ。

これを織り込んで、ツアー代金は安く設定できる。
しかし、買いたい物がない者には単なる時間の浪費だ。
ツアー代金がいくらか高くなってもいいから、避けたい。

それにしてもグラナダの店では凄まじかった。

アルハンブラ宮殿はそこそこに切り上げられ、
バスは土産物屋に横づけされる。
店内はすでに客で一杯、さらに次々と観光バスが団体を運んでくる。
ピーク時、9団体、それもすべて日本人観光客だ。
日本語で販売を即し、店内は日本語が飛び交う。
おばさんたちは小走りで売り場を移動する。

"ここはどこ?"と一瞬、戸惑う。

パックツアーでスペインへ  2012/6/3 記

inserted by FC2 system