パックツアーでスペインへ
第12章 単なる記録であったのに

引っ張りすぎてしまった。

備忘録程度にとどめるつもりであった。
それが、あれもこれもと欲が出た。

最近、無性にいまを意識する。

目の前の一つ一つが、これが最後の経験のように思えてくる。
"再び"に淡い期待をかけてはいけないと思うようになった。



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サクラダ・ファミリア教会を去るとき、ガイドが言った。

世界から多くの人たちがここを訪れる。
その入場料が寄付金となって、建設スケジュールが早まった。
14年後には完成するそうだ。

これを聞いて、バスの後部からこんな会話が流れる。

14年後? 39になっているなあ。
完成した姿を見に、再び来れるかなあ?

多少の嫉妬が顔を出す。

こんな会話ができたころを思い出す。
"再び"に疑いを持たなかったころを懐かしむ。

記録に残したって、なんの意味があるだろう。

そうは思いつつも、書き進んでしまった。
書くことでのみ"再び"を反すうする。
もう少し書いてみる。

パックツアーでスペインへ  2012/6/13 記

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