プラド美術館回想
Flash:第2章 ゴヤをみたくて

第2章 ゴヤをみたくて

スペインに行ったようなものだ。

堀田善衛の『ゴヤ』を若いとき、読んだ。
それ以降、関心を持ち続けた。
プラド美術館には是非とも行ってみたかった。


ベラスケスがつかえたフェリペ四世が1665年に死亡する。

王妃マリアナの摂政のもと、4歳の息子(カルロス二世)が即位する。
時を同じくして、有力貴族による統治評議会が設けられる。
王室とは別の権力機構ができる。
両権力は対立し、政治は混乱期に突入する。



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国外では、フランスがヨーロッパの覇権をめざす。

スペイン帝国の領土もつぎつぎと奪っていく。
それに対応して、国内でも親フランス派の勢力が強まる。

1700年、カルロス二世も世を去る。

カルロス二世には嗣子がいない。
スペイン・ハプスブルク家は途絶える。

フランスのルイ十四世は孫を王位につけようとする。

それが発端でスペイン継承戦争が勃発する。
神聖ローマ帝国(オーストリアハプスブルク朝)を
中心とする勢力がフランスに敵対する。
ヨーロッパ全体を巻き込んだ戦争に至る。

12年間つづいた戦いは、1713年、ひとまず終息する。

スペインを統合しない条件で、ルイ十四世の孫が王位につく。
ここにスペイン・ブルボン家王朝が誕生する。
しかし、これでスペインに安定が訪れるわけではない。

スペインは多くの領土を失い、衰退へ向かっていく。

失う領地はヨーロッパ内に限らない。
植民地アメリカではイギリスとの小競り合いが続く。
フランスの誘いに応じ、イギリスに挑むが、
かんばしい成果は上がらない。
フロリダ割譲などイギリスへのさらなる譲歩が迫られる。

国内政治では民衆を無視できない状況に陥る。

小麦価格高騰をきっかけに民衆の怒りが暴動に発展する。
全国規模で展開される民衆の要求に対して、
国王は、民衆代表との謁見を許す。
この譲歩で一時的だが、騒ぎはおさまる。

1788年、スペイン・ブルボン家のカルロス四世が即位する。

ゴヤはやがてこの国王に宮廷画家として仕えることになる。
1789年、バルセロナで軍隊と民衆とが衝突する事態が起きる。
王政には、いまや民衆の動きが脅威となり、
それを抑え込む方策が緊急課題となる。

隣国フランスからは革命の動きが伝わってくる。

同盟関係にあるフランスブルボン家も危機的状況だ。
ヨーロッパ全体が政治も社会も大きく変わろうとしている。


ゴヤが登場するのはこんな混乱の時代のスペインであった。


プラド美術館回想  2013/5/22 記

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