プラド美術館回想 第5章 ゴヤ「5月2日」「5月3日」
Flash:第5章 ゴヤ「5月2日」「5月3日」

第5章 ゴヤ「5月2日」「5月3日」

ナポレオンの栄光にも影がさしはじめる。

1812年、ナポレオンは対ロシア戦で敗れる。
1814年、フランス軍はスペイン国王をつれてスペインから退去する。
なお、スペイン国王はホセ一世、ナポレオンの兄ジョゼフである。

フランスが立ち去ると、スペイン改革勢力が息を吹き返す。

各地域から選出された国民議会のメンバーがマドリードに戻ってくる。
政府は民衆の愛国心をテーマに絵画を描かせることを決定する。



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ゴヤはこれに応じ、政府議長に請願書を書く。

「ヨーロッパの暴君(=ナポレオン)に対する、
我々の輝かしき反乱と崇高な英雄的行為を、
絵筆をもって永遠に残さん」

 とのゴヤは請願書は受け入れられる。

こうして、ゴヤによって二枚の絵が描かれる。

1808年5月2日に起きたスペイン民衆の反乱と
その翌日に執行された処刑の場を描いた作品だ。
スペインの人々にとって決して忘れることのできない
「5月2日」と「5月3日」がタイトルになっている。

この二枚の絵はプラドのグランドフロア−に並べて展示されている。

処刑される若者はキリストの生まれかわりのように描かれている。
近代における宗教画のごとき印象を受ける。
ゴヤの絵画への立ち位置が大きく変化したことを知る。


プラド美術館回想  2013/9/11 記

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