プラド美術館回想 第6章 ゴヤの晩年 − 黒い家
Flash:第6章 ゴヤの晩年 − 黒い家

第6章 ゴヤの晩年 − 黒い家

1823年、スペインは絶対主義的統治に再び戻る。

フェルナンド七世が復帰する。
軍事委員会によって自由主義に協力した者たちは激しく弾圧される。
ゴヤも自由主義側に立場を置く者だ。
異端審問所の役割を担う信仰委員会からも目をつけられる。



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ゴヤは77歳になっていた。

すでに耳は聞こえなくなっている。
数年前、瀕死の重態に陥ったこともある。
親しい知人はみな死んでしまったか、国外に追放された。
ゴヤも刻々と追いつめられていた。

そんな状況のなか「黒い絵」と呼ばれる作品群を残す。

ゴヤはそのころ「聾者の家」と呼ばれる家に身を置いていた。
その自宅の食堂や応接室の壁に14枚の絵を描く。
誰のために描いたか、なんの目的で描いたかわからない。

後になって、それらは壁から剥ぎ取られ、プラド美術館に移された。

いま、それら作品群をプラドで見ることができるのだ。
それらを眺めていると、
それはもう理解や共鳴の範疇から逸脱したものにおもえてくる。
まさに、叫びそのものだ。

これが八十才にならんとする老人の作品なのか。

ただただ、驚嘆し、その迫力に圧倒される。


プラド美術館回想  2013/10/10 記

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