熟年挽歌  6. 時の流れ

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 2009年もはやくも2月に入ってしまいました。 今年はやゝ趣向を変えて、 歌を織り交ぜながら綴っています。

今回はその6回目です。


 足早に時が流れていく。

一日があっという間。一週間がああっという間。
一年があああっという間。
つい先だってだ、ミレニアムなんて騒ぎがあったのは。

 長い時間がなくなった。

遊びたいさかりのあの授業時間の長かったこと。
どうっていうこともない会議の時間。
携帯なんて想像もしなかった懐かしきころの待ち時間。
無性に長く感じられる時があった。
それが最近、まったく体験しない。

 母は百歳にとどくかもしれない。

年をとってからも好奇心旺盛だった。
主に小説本だが週に2、3冊を読破していた。
ジグソーパズルに打ち込んだときもあった。
日が落ちたのにも気づかず、ピースをはめていた。

そんなおふくろがここにきて、体力、気力がしょぼんだ。
日ごと、うとうとしているか、横になっている。
なにもすることがなく、生きているのがなさけないという。
傍のものからみても、一日を無為に過ごすつらさが感じ取れる。

 人間、百年生きたとしたら、日数でいえば、36,500日。

その一日、一日を短く感じる時期もあろうし、長く感じる日もあろう。
いまの私は短いと感じているが、それもいつの日か
朝起きたときこう思うかもしれない。
今日もまた、たまらなく長い一日がはじまると。
それは恐怖に近いものかもしれない。
しかし、いまは想像だにできない世界だ。

 寝室の雨戸をあけ、安否を確認し、

  けふもまた
  ことなきさまにあけぬれば
  きのふと変わらず
  日をかさねるや
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