熟年挽歌  12. 婚活とソツコン

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 今回は流行語を題材に書いてみる。

「熟年離婚」をやたらと目にすると思っていたら、
いまは「60歳からのラブレター」が映画のタイトルだ。

 ところで、近年の晩婚化や未婚化の傾向は、
社会劣環境や経済的自立の困難さが要因であろうが、
それに加えて、結婚という濃厚な関わりを若者は嫌う。
相手方の両親、兄弟、姉妹、親戚と関係世界も一挙に広がる。
それらともうまくやっていかねばならない。

 それなのに、婚活なる言葉が流行っている。

 結婚へ踏み切ることをひとつの活動ととらえている。

結婚というこの濃い関わり方と
婚活が持つこのビジネスライクな響きが
ミスマッチする。 それがおもしろい。


 近年、人々が望む人間関係は変化したと思う。

濃厚を避け、疎な関わりで関係を保ちたいと望む。
人と人とが深く関わりあう場面がめっきり減った。

婚活には、人間関係にクールなものを持ち込もうとする
意図があるように私には思える。

  今月の一首

   すぎしこと 夢に夢よが重なりし
   ゆくさきざきも覚めやらぬかな




 さて一方、「ソツコン」なる言葉を最近、耳にした。

同じ屋根の下で生活する形態を卒業し、
夫婦別々に生活をたのしむことを指して
卒婚というようだ。

 自分の周辺をみても、そんな夫婦がいる。

つい先だっても、車検に出した整備工場でそんな話しを聞いた。
そこの社長、山を買い、小屋を建て、犬三匹と寝起きしている。
野菜もつくっている。食事も自分でつくっている。
奥さんは街で店をやっている。
山にはめったに顔を出さないという。

 夫婦という濃密な関係でありながら、互いに自立の道をいく。

夫婦だからといって、昔のように無理しつづけることはない。
100%あわせる必要もない。
生き方、ライフスタイル、好き嫌いもそれぞれ違う。
それを許容し合って、干渉せず、生活していく。

 家庭内別居あたりから始まって、

ぬれ落ち葉といわれ、ついには熟年離婚に流れ込んだ流行語。
それが、やっとというか、卒婚にいまや達した。
この先々、どうなることやら。

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