熟年挽歌 17.  便利にはなったが

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 喜んでばかりでいいものだろうかと自問する。

 この連休、高速1000円で渋滞と騒がれたが、
地方生活者には近距離の割引制度がありがたい。

生活シーンでは2区間とか3区間の距離での走行が多く、
割引対象の100キロ以内の利用で事足りる。

 いいことか、困ったことか、そのことは別にして、
地方の生活は車なしでは成り立たない。
買い物するにも、病院に行くにも車が必要で、
食べに行く時も、映画を観に行く時も、車を利用する。

 割引で、高速利用が身近になった。

 下の道をいってもいいが、高速ならさらに範囲が広がる。
おいしいと聞けば、少々足を伸ばしてでも行ってしまう。
先だっても、平日昼間割引を利用して那須に行ってきた。

 那須からの帰り、アウトレットモールに立ち寄った。
想像以上にでっかい。なにしろ駐車場がだだっ広い。
平日なのにかなりの車がとまっている。
車から降りて延々と歩いて、モールの入口にたどり着く。
端にとめたら、10分はかかろう。

 このモールのためにだろう、東北道に出入口ができた。
もともとあったPAにETC専用のICをつけた。
高速を降りれば、すぐにアウトレットだ。
これでは遠方からも高速を利用して人も来よう。

 高速の恩恵をもっとも受けているのは
この手の大型ショッピングモールじゃないかなあ。

 古い地図、といっても数年ほど前の道路マップだが、
それを見ると、ここは工業団地と記されている。
物を生み出すところが、消費の場所にいつの間にか変わった。
それも海外ブランドを主に商いとするモールに変貌したのだ。
このように物はつくらず、消費だけの光景が展開する。

 高速で便利と私自身も思っているが、
しかし最終的に儲かっているのはどこだろう。

 この春、料金割引にひきつけられ、ETCを搭載した。
しかし、そこには、表にはみえない利権が渦巻いているかも。
設置推進の外郭団体や料金回収システムで甘い汁を吸う
団体や企業がほくそ笑んでいるかも。
料金割引制度だって、関連団体は損はしていない。

 大型ショッピングモールだってそうだ。
大きな投資ができるところだけがガバッと客を集める。
便利さにつられて消費する金はどこかに流れ、誰かを潤す。

 話しは飛ぶが、

 来年春に茨城空港がオープンする。
自衛隊百里基地に新滑走路をつくり、
自衛隊との共用飛行場として開港する。

 この空港ができると、茨城に住む者は、
ちょっと晩飯でも食べに行こうかとソウルに飛べる。
友部の家からだと飛行場まで車で30分ほどだ。
それに駐車場も無料で、帰るまでとめておけばいい。
軽いフットワークで海外に行ける。

 これは便利でありがたいことだ。

 しかし、就航が決まっているのはアシアナ航空のソウル便だけ。
国内線はいまのところ、なし。
オープンしたが、閑古鳥が鳴くかも。
最終的には、軍用滑走路への転用という事態にもなりかねない。


 世の中、便利になっていく。しかし、その便利さを享受する時、
その先、その裏も考えておく必要があるかもと思った次第だ。

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