いまの季節、なにか心落ちつく感じでいい。
昔は、峠を下っていくようであまり好きではなかったが、
そんな年齢になったということか。
ひとりこうしているのが似合う季節だ。
ところで、
交友力は数段、女性が勝っていよう。
昼下がりの街は女性グループで占拠されている。
熟年男の群れは華やかな街には似つかわしくない。
それが理由というわけではないが、
ある男、定年後は田舎暮らしをと考えていた。
いろいろ探している様子だったが、最後は、
東京から遠く離れずの場所に落ちついた。
奥方が東京から距離をおきたくなかったのであろう。
妻のライフと夫のロマンはバランスがむずかしい。
女は犬型、よく出歩き、友と会う。
男は猫型、ぽつんと一人。
携帯も、女性のほうが圧倒的に活用している。
私も持っているが、最近はほとんど使っていない。
携帯で思い出したが、
先だって、こんなことがあった。
用事があって、ちょっと出かけることになった。
携帯を持って出ようとしたら、電源が切れている。
使わないとはいえ、なにかのときに困るので、
どうしようと思っていたら、
「私の携帯を持っていったら」と妻がいう。
「その携帯、預かっておくわ」とつづけていう。
これといって隠し事があるわけではないのだが、
これにはちょっと動揺した。
この胸騒ぎには後日談があって、
翌日、1通のメールが入った。
女性からの久々のメールだった。
朽ちもせぬロマンばかりをとどめおき
結婚しますのメールをたたむ
胸騒ぎもそっとたたんだ。