熟年からのインターネット NO.81
自己流メーリング考 第一章  3.心細さはどこにでも

 ネットだから不安なのではありません。当然のこと、 日々の生活のなかでも同様な不安はあります。

注文を出したのに「はい」とも言わず立ち去る店員。 私だって、妻の話に(正直言って)時々なま返事して います。人と人とのコミュニケーションはネットの世 界に限らずむずかしいものです。常に不安がつきまと います。

人の話しも聞かず、がなりまくる奴のいる会議のいら いら。言い過ぎたかと反省しつつ帰ったデートの夜の 寝つきの悪さ。涙を流すほど笑いこけ、互いに肩をた たきあった集まりのなかでふとよぎったさみしさ。 人と人とのつきあいには、心定まらぬ気分がただよう ようです。

 この心理を不安と呼べば、実生活でもネット上でも 同じような不安があるわけです。それはあたかも、生 身の空間がネットの空間に映し出されているかのよう です。私達がこれまで慣れ親しんできたつもりの人と 人とのコミュニケーションがネットのなかに鏡のよう にその姿を映し出しているのです。



 ただここで言えることは、ネットゆえにその不安が 増幅することです。それはネット上で起きる事象がド ラスティックで突然起こることや、まだ慣れていない つきあい方であることに関係するのでしょう。

文字だけが拠り所にする頼りなさ。顔、姿が見えない もどかしさ。考え過ぎからくる気疲れ。そんな要因が 重なり合って、心細さをつのらせるのでしょう。

百の言葉より、一回のにぎった手が強烈なメッセージ を伝えます。百度説明されるより、顔色や身体の動き を一度みれば即座にその人の体調を知ることができる のです。

 不安や心細さは現実の生活空間のなかに存在します。 励ましや祈りは生身の人間から発せられます。勇気や 創造も生身の人間から生まれます。

不安や心細さや励まし、祈り、勇気、創造がネットを 介してどのように伝えられ、伝わるかを見てみたいの です。そして、人と人との結び付けにネットがどのよ うな役割や意味をもつか考えてみたいと思ったのです。 その導入部として「不安」をとりあげたのです。




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