1.評価
人から評価されることで自己の存在感をあらためて
確認することはよくあります。評価が自分の居場所を
確かなものにします。その際の評価は自分の居場所と
する集団の価値基準にしたがって下されます。集団が
かかげる目的に合致した成果を生み出せば、高い評価
が得られます。そして、その高い評価は集団のなかで
の確かな存在感を生みます。
ここで特記しておくことは、限定された空間のなかで
の存在感である点です。さらにそれは、その集団が持
つ価値基準と自分の価値基準が同じ方向を向いている
という前提を必要とします。良かれと判断し行動した
結果が価値基準からそれていた場合、その成果がいか
に優れたものであっても高い評価は得られません。ま
た、基準に合致した成果なのに評価者によって正しく
評価されない場合もあります。このような事態にたび
たび遭遇すると、自分はここにいていいのかと、存在
感にかげりが出てきます。
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2.自己充足
評価が他人からの目であったのに対し、自己充足は、
字のとおり、自分自身のうちから生まれた満足感です。
有森裕子さんが言った「自分で自分をほめてやりたい」
です。あの42.195キロがまさに彼女にとっての
自分の居場所であり、そこにおいて確固として存在し
たのです。
自己充足感は生半可な気分では味わえないもののよう
です。高い目標を自らに意志でかかげ、日々の精進と
悔いのない行動によってもたらされるものです。日々
の努力によって、あらためて目標達成への大きな壁の
存在を実感し、その壁を乗り越えたとき(目標は達せ
なかったとしても)、はじめて自己充足を感じるので
しょう。残念ながら、いいえ、当然ながら、このよう
な充足感は感じた経験は私にはありません。
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