パックツアーでスペインへ
第9章 訪ねただけのアルハンブラ

本ツアーのハイライトはアルハンブラだ。

"アルハンブラの思い出"、あの有名なギター曲だ。
曲から思い描くイメージはなかなか強烈で、
それがすり込まれてしまっている。

だが、イメージは先行する。

映像も先入観を植えつける。
TVの旅番組などでアルハンブラ宮殿の美しい姿が紹介される。
映像で作り上げたイメージが実際に展開するものと期待する。



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イメージは打ち砕かれる。

目の前にする現実との落差に戸惑う。
アルハンブラ宮殿はグラナダ城塞のなかにある。
城塞といってもそれほど広くない。
宮殿も思ったほどの規模ではない。
大きな館といった感じだ。
それにも増して落胆させたのは輝きが失せていること。

しかし、それはアルハンブラ自体のとがではない。

多くの観光客が訪れる。訪れ過ぎといってもいい。
大人数に対応するためか、予約を必要とし、入場制限がある。
入場人員を抑えても、内部は人であふれている。
歴史に思いをはせ、心静かに芸術文化を味わう雰囲気ではない。
人に押され、せかされ、進んで行かざるをえない。

あまりに観光地化してしまった。

大衆化の波は強まることはあっても失せることはない。
祈祷の部屋も謁見の間も中庭も、すべてが観光客で占拠される。
21世紀の現代でもアルハンブラ受難の時代はつづいている。

ただ行ったというだけで終わってしまった。

残してくれた遺産に敬意をはらう余裕もなかった。
畏敬の気持ちを横に置いて、見物してしまったことに後悔する。
アルハンブラに申し訳ない気持ちだ。

パックツアーでスペインへ  2012/5/10

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