熟年挽歌  10. 定年後の故郷のつもりで

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 仕事でつくばに派遣されていたとき、

つくば学園都市という街がえらく気に入った。
いまは原色の看板も増え、かなり俗化されたという感じだが、
当時は、みどりが目にも心地よい街だった。
定年後、住むなら茨城だと、そう決めた。

 ときはバブルの真っ只中、手ごろな物件がみつからず、

結局、つくばよりさらに北の西茨城郡友部町に行き着いた。
そして週末だけそこで生活するスタイルをとりつづけてきた。
肝心の定年後だが、そこに定住するという目論見は実現していない。

 いまは、時折帰るという程度だが、戻るとほっとする。

          2009/4/3 金曜

 先日も暖かくなったので、庭でくつろいでいた。

小鳥たちがやってくる。
その姿と声を追っていると、歌ができた。

  とびきたる庭の鳥にも名があろう
  あれは「はるお」や これ「なゝこ」とか

 木々にも、雑草にも、ひとつひとつに目が行く。

一つ一つが明確でありながら、それでいて全体が調和している。
東京での生活とは違う気分を味わう。

 ありがたいことだと、だれともなしに感謝した。

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